介護士の時間外労働で勤務先に労基がきた!訴えられた施設の対応は?

2018-03-23介護業界

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パソコンを見ながら困っている若い女性のイラスト
皆さんの職場では、強制的な早出や居残り(残業)・未払いの残業代(サービス残業)はありませんか?

私が働く特養ではありました。そして職員が労働基準監督署に訴え、職場に弁護士や監査が来る事態に発展しました。

 

時間外の不正な長時間労働が公になり、大手の企業が訴訟を起こされる事を耳にするようになりましたね。

一昔前なら残業は働き者・自己投資・サービス精神で行う前向きなとらえられ方もあり、その世代の人たちには今もサービス残業という悪い習慣が根付いています。
いま上に立っている人たちも強制時間外労働・サービス残業をしてきたので、それを押しつける企業もあります。

しかし時代は変わりました。

かつて常態化していたこの習慣も今では訴訟の対象になり、日本はやっと正常な社会になろうとしています。

今回は私の職場である特養で起きた、不当な労働に関する事件をお話します。

 

介護業界のサービス残業

 

求人情報誌の介護職のページを見た事がありますか?
見てみると案外悪くない求人に見えますね。

しかしこの内容はほとんどうそです。
詳しくはまた別の機会にお話したいと思いますが、残業が行われているのに残業代が支払われない事業所はたくさんあります。

介護・福祉はボランティア精神。残業もボランティア。

これが今回の事件の種でした。

 

私の職場の勤務実態

私が働く特養は残業代という概念がありませんでした。

規則上では命令外の残業が禁止されていたからです。

命令内の残業が「残業代払うから残ってこれやって」に対し命令外の残業というのは「こっちからお願いしていないよ。勝手に残ったんでしょ?」です。

 

早番
7:30-16:30 / 実際7:00-17:30
休憩60分 / 実際15分前後
時間外2.25時間

遅番
11:00-20:00 / 実際10:00-20:30
休憩60分 / 実際15分前後
時間外2.25時間

夜勤
16:30-10:30 / 実際15:30-11:30
休憩120分 / 実際なし
時間外4時間

これが職場のシフトです。時間内で業務をやりきる事が難しかった当時は、この様な早出・居残りが常態化していて、仕舞には定時で帰る事が職員間のタブーとまでされ、

“仕事が終わっても帰れないから手伝う“という何とも無駄な残業もありました。

肝心の事業所幹部は「居残りは1時間以内で済ませなさい」とだけ言ってあとは黙認。
当然“命令外”なので残業代は支払われませんでした。

 



 

ついに職場が訴えられた

 

ありそうで、でもあると思わなかった事件が発生しました。

不満が爆発した一人の職員が勤務実態を労働基準監督署に報告しました。
いつかは来るであろう、でもありえなかった事が実際に起こったのです。

その職員は労働監督と弁護士を連れてやって来たようで、残業代の未払いを請求して来ました。

これに対して施設は、被害を最小限に食い止めようとさまざまな策をとり、中にはうその供述を強要された職員もいました。

しかし、この頃は時間外労働による問題が連日報道されていた事もあり、施設の顧問弁護士と相談の結果、全職員に過去3年間分の未払い残業代を支給するという事になりました。

しかも3年以内に退職した職員も対象というから驚きです。いったいいくら支払う事になるのか。

当時役職持ちだった私はいち早く情報を知る事ができたので、最悪転職も視野に入れて様子をうかがっていました。

すると、さらに驚きの結果が待っていたのです。

 

私に支払われたのは・・・・9.000円ですか?

この手の話題はすぐに職員間で情報共有が始まるので、未払い金が支払された数日間は「あの人はこれくらいもらった」という情報がまわってきます。

そう、私に支払われた未払い金は9.000円(端数割愛)だったのです。

期待はしていませんでしたが、少なく見積もっても1カ月50.000円 3年で180万円以上になるものが9.000円に変身してしまうとは、匠もビックリの劇的ビフォー・アフターです。

そして気になる周りの職員はというと、だいたい10.000~15.000円の間。
どんな方法を使ったのかは末端の役職である私には分かりませんが、

“毒をもって毒を制する” 危険をおかして危機をしのいだんですね。

 

でも気になった事がひとつ。未払い金が数十万円も支払われた職員が数名いたのです。

数十万円支払われた職員達は告発した職員と同じフロアーで働いていた方達で、おそらく隠しきれなかったのでしょう。もちろん訴えた本人は数百万を得たとのうわさです。

という訳で、辞めた職員の告発によって得た個人的な恩恵は微々たるものに終わりましたが、別のところで職員に大きな恩恵がありました。

 

お金は増えなかったが自分の時間が増えた

未払い金は微々たるものでしたが、代わりにとても大きな変化がありました。

残業禁止の動きが強まって早出・残業を一切禁じる事になったのです。

残業・早出の禁止によって業務はカツカツになり、妥協が必要になる部分も出ましたが、定時で帰っても休憩をとっても文句を言われない、極当たり前の労働環境になりました。

体力に自信がなかったり家庭を持っている者としては、これが一番うれしいですよね。

でもこれって当たり前ですからね。「福祉はボランティア精神が必要だ」と国会のお偉いさんも言っていた記憶がありますが、そんな事を言うトップや権力者がいるから介護業界はブラック起業化し、人材不足に悩まされるのではないでしょうか。

ただでさえ体も心も疲れる仕事ですから、少しでも気持ちに余裕をもって良い介護をしたいです。

 

振り返れば事業所・職員それぞれに非があった

ここまで事態が発展した後で振り返ると、事業所・職員どちらにも非があったからサービス残業が常態化していた事に気付きました。

事業所は業務内容の改善・労働時間の管理を怠った事。

職員は“時間内じゃできない”と決めつけ、残業する事でそれを正当化していたと思います。

今回の事件のあと、「今後はとにかく残業禁止」と定時の見回りが徹底されましたが、残業防止に関して具体的な指示が出る前に、多くの職員は時間内で業務を終える事に成功していたからです。

“本当はやればできた”その一言です。

事業所がしっかり管理できていなかった事には変わりないので肩は持ちませんが、一概に企業が悪という訳ではないのかなと考えさせられました

 



 

あとがき

 

結果的には、この事件が起きたことで職場の環境は良くなりました。

その事自体は事業所・職員双方にとって大きな恩恵だと思います。
労働環境が良ければ職員が集まり、辞めにくいですからね。

こうした大きな変化を起こすには大きな事件を起こす必要があり、大きな事件を起こすには勇気と仲間の協力が必要です。

安心してください。労働基準監督署に訴えたからといって解雇されたり、不当な扱いを受ける事は禁止されています。

とはいっても、気まずくなる事には変わりありませんね。
自分がいる環境をしっかり分析し、選択肢にはどんなものがあるのか把握した上で、メリット・デメリットを天秤(てんびん)にかけて行動するのが良いと思います

この先も長い労働人生ですから、できる事はやっておきましょう。

2018-03-23介護業界

Posted by garu-mama