介護が義務教育になった!中学校学習指導要領から見える介護現場の疑問

2018-03-29

 

2017年3月に発表された中学校の学習指導要領で、ついに「介護」が授業に盛り込まれる事が決定されました。

これにより、核家族化で疎遠になった高齢者とのかかわりが増え、介護に対する興味をもった子供たちが、将来介護士を目指してくれる事につながるのではと期待されています。

しかし、授業は技術・家庭科の一部に過ぎず、単独で「介護」として単位があるわけではないようです。

 

 

予想される授業内容

 

学習指導要領を見ると、まだ具体的な授業内容は決まっていない様ですが、以下の記述があります。

・家庭生活は地域との相互の関わりで成り立っていることが分
かり,高齢者など地域の人々と協働する必要があることや介護
など高齢者との関わり方について理解すること

・高齢者など地域の人々との協働について取り上げ,高齢者の身体の特徴に触れるとともに,高齢者の介護の基礎に関する体験的な活動ができるよう留意すること

引用:開隆堂出版 教授用資料

 

この内容から、高齢者の基本的な知識を学ぶほかに職場体験のような実習があると予想されます。

しかし、現状の職場体験は大人たちの都合が表に出てしまい、子供たちには介護の綺麗な部分しか見せていません。
実際私が見て来た子どもたちには、“老人ホームは高齢者の世話をして一緒に話をしたり遊ぶところ“と認識されているように感じました。

もしありのままを見せてしまったら、介護は“汚い・怖い・刺激が強い“と思う子供は少なくないでしょう。

どの施設も悪く思われたくないので、自分の施設だけありのままを見せるなんて事はしません。「あの施設はダメな施設」という風評被害をおそれて、施設は汚いものにフタをします。

授業としてどこまで見せるべきなのか、全国の協力施設で統一された指標が必要です。

 

高齢者に対する知識として必ず盛り込まれるであろう、心身の機能低下に関すること。
高齢者の気持ちになる疑似体験や、いま問題になっている“オレおれ詐欺”などの詐欺被害や、“車の誤操作や逆走”などの事故を例にあげ、判断力の低下から来る危険に目を向ける授業になりそうです。

しかし本当に学んで欲しいのは介助技術と認知症高齢者への知識です。
これがないなら介護の授業は空振りと言えるほど重要なこの2つ。

超高齢化によりすでに介護の手がまったく足りていない日本は、今すぐにでも介護ができる人員を必要としています。
それは介護職員ではなく、自宅の介護を軽減できる人員、つまり家族です。

若い家族に介護の基礎知識があれば家庭の介護負担が減り、介護疲れや介護離職の軽減につながる可能性も期待できます。

簡単な軽介助と認知症に対する知識さえあれば、それだけで自宅介護の即戦力になり得ます。

理念は介護職に就く事になれば嫌でも学びます。
それよりも実用的な高齢者知識、簡単な食事介助や移動介護、排泄ケアのイメージ構築、そして認知症について事前学習するほうが現実的で役に立つはずです。

 

授業で学ぶ事で起こり得る問題

 

授業化される事が良い事だけとは言えません。

介護を学んだ子供たちは、優しさや興味から家族や外で困っている高齢者に“教わった事をやってみたい”と考えるでしょう。

怖いと思いませんか?子供が、下手をしたら命にかかわる介護を学ぶ事が。

中学生は通常12歳~15歳を指し、刑事事件は15歳・民事では12歳から責任能力があるとされるようなので、中学生は大人とも言えますが、善意や興味から起きた介護事故の責任はどうなるのでしょうか。

トランスなどの介護技術でなくても、例えば視覚障がい者の誘導でも命にかかわる事故が起きます。
そうなった時に“学校で教わったので、助けたいと思った”ではかわいそうです。

どうせ学ぶなら中途半端に学ぶのではなく、資格を取得できるレベルでしっかりと学ぶ必要があると思います。

 

子供の頃から介護を学ぶという事にだけ焦点を置けば、日本の政策は間違いではないと言えますが、私はそんな悠長な事を言っていられないと思います。

日本の介護問題はすでに急を要する事態になっています。
こんな先の見えない未来を、私たちはただ言われるがまま歩いて行くしかありません。

今できる事、それは自分たちが置かれている状況をしっかり理解し、将来に備える事。
今後開始される介護の授業化が、せめて一人でも多くの介護士を生み出す事を願って、いまはただ自分の将来を考えましょう。

Posted by garu-mama