よくむせる人が病気になりやすい理由と、若くても食事や唾が気管に入る原因

2018-06-03カラダと病気②

若いのに食事や水分、または自分の唾液でむせてしまう。
そんなことはありませんか?

よくむせるという方は「体質」のせいにしたり、または当たり前になりすぎて気にかけていない方が多いようですが、「むせる」という事の裏側で、あなたの身体は命の危険にさらされているという事実があるのをご存じでしょうか。

高齢者や体力のない人はもちろん若くて健康な人も、そのままにしておくと必ず後悔します。

むせる原因とむせやすい理由をしっかり理解することで、将来的なリスクを減らしておきましょう。

 

むせる原因(メカニズム)

 

ムセるメカニズム参照イラスト画像参照:岩手医科大学歯学部

私たちが食事や唾液でむせてしまうとき、身体ではどのような事が起こったのでしょうか。

上のイラストを使って簡単に説明します。
まず、イラストを見てください。要点を箇条書きにします。

  • 緑色の文字「食塊」は食べ物や飲み物の事です。緑色の点線は食べ物などが胃に向かう正しい経路を示しています
  • 食事や水分が胃に向けて通る経路を「食道」、空気が肺に向かって流れる経路を「気道(気管)」と言いますが、食道と気管はイラストのように並んでいて、食道が首の後ろ側、気管は喉側にあります
  • 食べたり飲んだりするとき以外は食道が閉じていて、開くのは1回につき0.5秒の間だけ
  • 気管の入り口にはフタ(喉頭蓋:こうとうがい)があり、食道を通る食事や水分が間違って気管に入らないようにしています。
    気管のフタの開け閉めがうまく機能しない場合、むせるという反応が起こります

 

むせる例

  1. 食道が開く0.5秒の間に食物がすべて通り切らず、食道が閉じて食べ物が取り残される
  2. 身体がのどに取り残されている食べ物に気付かず、気管のフタを開けてしまう
  3. 気管に食べ物が入り込み、それを排出しようと反射的に咳が起きる(せき反射)

このような事が私たちの身体で起こり、むせてしまう事になります。

 

 

むせやすくしている状況

 

口呼吸はむせやすい

  • 食べている時、鼻ではなく口から息を吸っていると、食べ物や水分が気管に入りやすい
  • 意図的ではなくても、鼻が詰まっているときなど注意が必要

 

集中していないとむせる

  • 飲み込む時は無意識に息を止めるようになっているが、意識が散っているとタイミングが合わず、気管に入ってしまう
  • 飲み込む動作は不随意運動と言われる“意思に関係なく行われる動作”だが、しっかり“食べる”事を意識しないと反応が悪くなる

 

香辛料や湯気の刺激でむせる

辛いものや熱いものは気管にとって刺激になり、むせやすくなります。
口に食べ物を入れる前に息を止める事を意識するのがコツです。

 

飲み込む筋肉が弱い

飲み込むためには複数の筋肉が動作していますが、この筋力が低下すると一度で食べ物や水分を飲み込む事ができません。高齢者はこのタイプが多いです。

 

唾液が少ない。または食事前・食事中の水分のとり方が悪い

  • 食事前は必ず水分を摂り、喉の通りをよくする
  • ぱさつく食べ物は水分と一緒に食べることで喉にひっかかりにくい

唾液の分泌が少ない方は特に水分摂取が重要ですが、マッサージによって唾液分泌を促す方法もあります。※後の項目で解説動画あり

 

まだ口に残っているのにどんどん詰め込む

日本独特の食べ方で「口内調味」という言葉がありますが、口の中で食べ物を混ぜ合わせて、味の変化を楽しむ文化らしいです。

私もその癖がありますが、高齢者でむせやすく危険視されるのはこのタイプです。

飲み込む力に異常がなくても、この癖がむせや喉につまらせる危険性を高める要因です。

また、兄弟が多くご飯を取り合ったり、休憩がとりづらい仕事をしていたなど、過去の経験でついた”急いで食べる癖”も同様の危険性があります。

 

大きなかたまりで食べようとする

一口で食べたいものってありますよね!分かります。

ちょうど一口で食べてしまえるくらいのサイズがもっとも喉につまりやすく、ミートボールくらいが一番つまりやすいと言われています。

 

よく噛まない

しっかり噛むことで小さくかさばらない状態になり、唾液も分泌されます。

唾液は潤滑油の役割をするので、相乗効果で飲み込みやすくなりますが、柔らかい物ばかり食べて噛む回数が減った現代人は注意が必要です。

 

眠気や体調不良

眠気や体調不良により、脳からの「飲み込む」という指示がからだに伝わりにくい状態になっています。

 

老化や病気による筋力・反射の低下

老化や病気、ケガなどの理由で喉の筋肉が弱っているとむせやすく、咳などの反射的に起こる機能も低下している可能性があります。

 

姿勢が悪い

からだが傾いていたりすると変に力が入ってむせ・喉つまりを起こしやすくなります。

また、猫背の方はあごが上がっている状態になる事が多くなりまが、これはテレビなどでよく見る「気道確保!」の状態で、あごが上がると気道と口が直線上になりむせやすく(気管に物が入りやすい)なります。

 

唾液でむせる

  • 話をしている時にむせるのは、口で息をしたり、驚いた時や大笑いで唾液と息を一緒に吸い込んでいる可能性が高い
  • 寝ている時は飲み込みに必要な神経や筋肉の働きが鈍っているため、唾液や鼻水(後鼻漏などが原因)がのどに流れてしまう事がある
  • 唾液の分泌が多い。通常レベルの唾液量ではむせない様になっているが、唾液の分泌が多く口にたまると、“寝ている時に水を飲まされる”様にむせてしまいます。

 

 

むせる原因を放っておくと誤嚥性肺炎などのリスクが高まる

 

若いのにむせてしまう原因は飲み込みに問題があると言いましたが、飲み込む事を嚥下(えんげ)と言います。

そして嚥下が悪い事が原因で起こる代表的な病気に誤嚥性肺炎があります。

あまり聞きなれない病名かもしれませんが、誤嚥性肺炎は食物や唾液が気管を通って肺に入り、肺の中で菌が増殖して肺炎を起こす病気です。

高齢者の死亡原因ではトップクラスの誤嚥性肺炎ですが、若ければ大丈夫という事ではありません。

 

高齢者が誤嚥性肺炎を起こしやすいのには大きな理由が3つあり、一つは免疫が下がっているから。
もう一つは気管を守る身体機能(気管に空気以外の異物が入り込まないようにする身体機能・気管に入り込んでしまった異物を排出する機能)が低下しているから。
最後に、肺で増殖した菌によって引き起こされた、炎症に対する抵抗力が下がっているからです。

しかし若いうちでも同様の状況になってしまう事があります。

若いのに高齢者と同様の状況になってしまうのは、病気やけがで著しく体力が落ちているとき、そして眠気などで身体がうまく機能しない時です。

※飲み込むメカニズムと誤嚥性肺炎についてはこちらで詳しく説明をしています。

 

また、誤嚥性肺炎のほかにも風邪や細菌・ウィルス感染にもかかりやすくなってしまうので注意が必要です。

これは、気管にある異物を排出する機能である繊毛(せんもう)と呼ばれるブラシのような器官が、誤嚥や感染、体力の低下によって減少してしまうために起こります。

若く体力があり、健康な今だから「咳が出て苦しい思いをするだけ」で済んでいますが、「若さ」「体力」が欠けたとき、ただの「むせる」という事が命にかかわる病気の原因に変わる事に注意しましょう。

 

 

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いつでも自然で簡単に!むせにくくするトレーニング

 

若い人のむせは、通常であれば姿勢やむせやすい状況、癖を正すだけで改善されますが、筋力の低下を防ぐことで将来的なリスクを抑える事が可能です。
むせにくい身体を作るためにも、ちょっとした時間を使ってできる筋トレを紹介します。

 

いつでもばれずにできる方法

唾を飲み込む動作をひたすら繰り返します。
たったそれだけで飲み込む動作が鍛えられます。

 

寝たままできる方法

仰向けになって寝たままテレビを見ましょう。
テレビに足を向け、あごを引いてテレビを見るだけで首周りの筋肉が鍛えられます。

 

自宅で出先で簡単な方法

ストローで吸う
ストローで息を吸ったり吐いたりする事で口の周りの筋肉が鍛えられます。

ガムを噛む
ガムを噛む事であごの筋肉が鍛えられ、唾液の分泌もふえます。

 

喉を手軽に鍛えられるのはカラオケ

喉の筋肉を楽しく簡単に鍛えられる方法として、もっとも有名なのはカラオケです。

人前で歌うのは苦手という方は、入浴中や散歩中に口ずさむ程度でもいいので取り入れてみてください。

 

 

自分でできる嚥下チェック方法

 

病院に行けば造影検査や内視鏡検査ができますが、ここでは自分で簡単にできる方法を紹介します。どうしようもなく暇な時にでもぜひ試してみてください。

反復唾液嚥下テスト
唾液嚥下を30秒間繰り返し、できるだけ何回も飲み込み、その回数を目安にするテストです。

まず、のど仏のあたりに指をあて、唾液をのみ込んでみてください。
喉仏が動く事が飲み込んだサインです。

唾液を呑み込めた回数が30秒間に2回以下の場合、異常が疑われます。
3回以上の場合は、ほぼ問題なしです。

私がそうでしたが、若い方なら10回以上はできるはずです。

 

病院で行う嚥下チェック

病院で嚥下障害のレベルをチェックするときに行う方法ですが、高齢者や筋力が低下するような病気にかかっている様な方でない限りは必要ありません。
参考程度に一部紹介します。

☑造影検査
レントゲンと造影剤を用いて、食事や水分が喉を通過するときの動きを確認します。

水飲みテスト
冷水3mLを口腔前庭部(唇のうら)に注ぎ、飲み込む方法です。

  1. 嚥下なし、むせる・呼吸に異常が出る
  2. 嚥下あり・呼吸に異常が出る
  3. 嚥下あり・呼吸に異常なし・むせる、湿性嗄声あり(ガラガラ声になる)
  4. 嚥下あり・呼吸に異常なし・むせない
  5. (4)に加え、空嚥下(何も口に入っていない状態で飲み込む動作)が30秒以内に2回可能
この5段階で評価し、1~3の場合は異常が疑われます。
フードテスト

ティースプーン1杯(3~4g)のプリンやゼリーなどを飲み込む方法です。

  • 1点 嚥下なし、ムセまたは呼吸に異常が出る
  • 2点 嚥下あり、呼吸に異常あり
  • 3点 嚥下あり、呼吸に異常はないが、ムセあるいは湿性嗄声(ガラガラ声になる)や口に残っている
  • 4点 嚥下あり、呼吸に異常はなく、むせ・湿性嗄声なし。口に食物が残っているが、もう一度嚥下すると消失する
  • 5点 4点の内容に加え、空嚥下(何も口に入っていない状態で行う飲み込み動作)が30秒以内に2回以上できる

評点が4点以上の場合は、最大3回までテストを行い、最も悪い評価を適用します。

 

 

唾液分泌をうながす唾液腺マッサージ

 

唾液きは多すぎるとムセの原因になりますが、少なすぎてもムセや窒息の危険性が高まります。

唾液の分泌が少なくなっている方は、マッサージで唾液を分泌させる事ができますが、言葉や図の説明では分かりにくいのでYouTube動画を引用させていただきました。

唾液腺をマッサージして唾液分泌を促す方法を解説した動画です。

 

他にも舌先で奥歯をなめたり、下の前歯の裏にあるヒダを下でグリグリすると唾液が分泌されます。

この方法は昔サバイバル系の本で見たのですが、口渇状態で飲み物がない時の気休めとして使えます。

 

 

若いのにむせる4つのまとめ

 

  1. むせるのには原因があり、放っておくと誤嚥性肺炎など命にかかわる病気を引き起こすことがある
  2. 食べ物や水分があやまって気管に入り込み、それを排出しようと反射的に咳が起きる
  3. むせる要因には高齢や病気、身体機能の低下のほか、早食いや姿勢などがある
  4. 若い人のむせは、意識する事でほとんど防げるが、簡単なトレーニングを続けることで将来のリスクを抑えることが可能

2018-06-03カラダと病気②

Posted by garu-mama