誤嚥性肺炎とムセの関係性を知れば、今からムセないように注意したくなる

2018-05-30カラダと病気②

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解説するナースのイラスト

私たちは生きるために食事をします。
しかし病気や年齢を重ねる事で「食べる」ための機能が低下し、病気で体力や免疫が下がった方や高齢者にとっては食事も命がけになります。

特に高齢者にとっての「食事が命がけ」というのは大げさではなく、食事が原因で亡くなる方はとても多くなります。

食事で亡くなると言うと喉につまらせる事を想像される方が多いと思いますが、多くは誤嚥性肺炎肺炎(ごえんせいはいえん)と呼ばれる肺炎によるものです。

誤嚥性肺炎の「誤嚥」とは、簡単にいえば「飲み込むことに失敗する」という意味で、多くの場合はムセます。

心当たりはありませんか?若い方でも誤嚥をしています。
いまは身体が元気なので誤嚥性肺炎になる可能性は低いと言えますが、ムセる癖をそのままにして年をとってしまったら、誤嚥性肺炎で人生を終えてしまう可能性が高まります。

こちらの記事でも触れていますが、まだ若い今のうちに誤嚥のくせを直しておく事が必要です。いのにむせやすい原因は癖と身体の衰え!将来の肺炎や窒息のリスクも!

 

食事を胃に直接流し込む事を例外として、生きるためには食べなくてはなりません。
食べるという事は、飲み込むという動作がなければ成り立ちません。

避けられない事ですから、年をとってから苦しい思いをしないためにも、「誤嚥と誤嚥性肺炎の関係性」を知っておいて損はないと思います。

 

飲み込む動作 嚥下(えんげ)について

 

食べ物などが口に入ると、固形物なら咀嚼(そしゃく)呼ばれる噛む動作が始まり、呼吸は鼻呼吸に変わります。

かみ砕かれたものが舌で喉(のど)に送られると、軟口蓋(なんこうがい:鼻から空気が入らない様にしまるフタの役割。口を大きくあけると喉の奥上部にみえる)と喉頭蓋(こうとうがい:喉の下部にあり、気管にフタをする役割)がとじて呼吸を止めて異物が気管に流れなくすると同時に、食道が約0.5秒の間拡がり、スムーズに食道へ流れるようになっています。

通常はこれ1回で飲み込めますが、高齢や病気によって身体の機能が低下していて、食物や水分がのどに引っ掛かっていたり、動作のタイミングにずれがあって1度で飲み込めなかった時は、2度3度と意識的に嚥下動作を繰り返す(二次嚥下という)事で飲み込んでいます。

また、歯の状態も嚥下能力に大きく関わっていて、ボロボロの歯や合わない入れ歯は誤嚥のリスクが高くなります。

嚥下の動きを確認する方法

  1. 唾を飲み込む・・・呼吸が止まり、喉仏が動くのが分かります。
  2. もう一度飲み込む・・・飲み込んだ後は息を吐いていませんか?
    これは息を吸ったとき、のどに残った食べ物などが気管に引っ張られて入り込まない様にしています。
  3. 今度は咀嚼してください・・・鼻呼吸していますよね。鼻が詰まっていたりして鼻呼吸ができない場合、咀嚼を止めて口呼吸をする必要が出て来るので、食べ物が空気と一緒に気道へ入ってしまうリスクが上がります。

 



 

誤嚥性肺炎は誤嚥しなければ起こらない病気

 

誤嚥性肺炎とは、本来であれば食道を通る食べ物や水分、菌を含んだ唾液やおう吐物などが誤って気管に入り、肺の中で菌が増殖して炎症を起こす、肺炎の一種です。
口や鼻から喉、気管支、その先の肺につながる空気の通り道を気道と言いますが、気管は喉から気管、肺にかけてをさします

日本人の死因第3位である肺炎ですが、亡くなる方の97%が65歳以上の方であり、またそのほとんどが誤嚥性肺炎だと言われています。

 

誤嚥のしくみイラスト

 

誤嚥について

誤嚥には2つのタイプがあります。
ムセなどを伴って明確にわかる顕性誤嚥(けんせいごえん)と、ムセなどが伴わず気付かない内に誤嚥している不顕性誤嚥(ふけんせいごえん 別名:サイレントアスピレーション)です。

若い方はしっかりムセているので顕性誤嚥ですが、高齢による能力低下や病気の影響によってムセる事ができない方は、周りに気付かれないまま肺炎を起こしてしまいます。

食べなければ誤嚥しないというわけにもいかず、胃ろうと呼ばれる“流動食や水分を胃に直接流し込む”状態の方でも誤嚥を起こします。
唾液や嘔吐があるからです。

理論的に誤嚥をなくす方法がありますが、空気を声を出す事ができなくなるというデメリットがあります。

 

咳や痰は誤嚥から身体を守る機能

人の身体には気道防御(きどうぼうぎょ)と呼ばれる誤嚥を防ぐ4つの機能と、誤嚥してしまった異物を体外に排出する喀出(かくしゅつ)という機能があります。

気道防御

  • 咳反射(せきはんしゃ)・・・侵入してきた異物を咳によって体外に出そうとする
  • 無呼吸反射(むこきゅうはんしゃ)・・・飲み込む時には無意識に息を止め、空気と一緒に異物が気管へ入り込まないようにしている
  • 喉頭閉鎖反射(こうとうへいさはんしゃ)・・・同じく飲み込む時に喉頭蓋を閉じて物質が気道に入らないようにする
  • 嚥下反射(えんげはんしゃ)・・・口に入った食べ物などを、気管に入らないよう食道まで送る一連の働き

高齢や病気の影響でこれらの機能が低下すると、誤嚥を起こしやすくなります。
また、気道防御機能は姿勢や気持ち・意識状態にも左右されるので、猫背やあごが上がった姿勢、眠気が強く意識がはっきりしない様な状態での食事は危険です。

 

喀出(かくしゅつ)

気道防御の機能をすりぬけて異物が気管に入ってしまった場合、気管でつくられる粘液が異物をからめとり、気管や肺の内側に生える繊毛(せんもう)と呼ばれる細かい毛状のヒダによって、痰として排出する事ができます。

しかしこの繊毛の働きが悪くしてしまう条件があります。

  • 眠気などで意識がはっきりしない状態
  • 乾燥・・・水分が痰の粘度に影響するので、水分補給や加湿が大切です。
  • 感染や誤嚥・・・風邪やインフルエンザなどの菌の排出や、誤嚥を繰り返すことで多くの繊毛が機能しなくなり、再生するのに3週間から1カ月掛かります。その間は排出能力が著しく低下します
  • 血流が悪く粘膜の温度が低くなると活動が低下します。

 

人の手でできる喀出の補助として、背中を軽打するタッピングや、咳の補助があります。

【タッピング】
手の平をカップの様にかた作り、背中の上半分の部分を下から上に連打で叩いていき、排出を促します。

【咳の補助】
咳をする前に大きく息を吸い、咳に合わせて胸を押すことで咳による排出を促します。

 

意識的に誤嚥をためす方法

誤嚥がどんなものか、気道防御がどのように働いているかを試す簡単な方法があります。

  1. 上を向いて大量の水を一気飲みする
  2. 息を吸いながら水を飲む

この2つが確実で簡単な方法です。見事むせても、身体が嫌がって息をとめたり慎重になるようでも、気道防御機能は働いています。

ムセた後しばらくして痰が出て来たなら、誤嚥と気道防御、喀出ができたという事になります。

 

誤嚥を防ぐために気をつける事

 

  • 飲食をする際はしっかりと目が覚めた状態で、集中する。高熱が出ている時など意識がはっきりしない時はとくに注意する
  • 姿勢を整える。あごが上がっていると喉と気管が直線になり、気管に入りやすくなります。
    あごを引きすぎても喉の動きが邪魔されるので、少しあごを引く位を目安にします。
    実際に自分自身で何通りか試してみると、喉に負荷が掛からない位置が分かりやすいと思います。
    体が傾いていたり不自然な状態では変に力が入り、嚥下しにくくなります。
  • 口腔ケア(歯磨き)を正しくしっかり行う事で、誤嚥性肺炎の原因になる菌の増殖を防ぎます。歯磨きをせず口の中に繁殖した菌は、カゼやインフルエンザの菌の増殖を助けてしまいます。また、口内の刺激は脳に大きな刺激を与え、咳や嚥下反射をアップさせる神経伝達物質を増加させるので、歯磨きをしっかり行う事は、誤嚥や・認知症進行・記憶力低下の予防にもなります。

「口腔ケアのコツ」

  • 食介と同じくあごを上げない
  • ブラシはペングリップを基本にして歯に軽く当て、電動ブラシの様に小刻みに動かす
  • 口内は上より下、前より奥の方が鈍感で、鈍感な方から磨く
  • 舌は痛いので、ブラシの先ではなく横腹を使用し、奥から手前にやさしく動かす。食後すぐは嘔吐の危険があるので避ける

 



 

誤嚥性肺炎とムセのまとめ

 

  • 誤嚥性肺炎は、本来であれば食道を通る食べ物や水分、菌を含んだ唾液やおう吐物などが誤って気管に入り、肺の中で菌が増殖して炎症を起こす、肺炎の一種
  • 誰でも1度は誤嚥をしているが、若く健康なうちは身体を守る免疫や機能がしっかり動作しているため、誤嚥性肺炎になる可能性は低い
  • むせる癖をそのままにしておくと、年をとって誤嚥性肺炎になる可能性があがる
  • 咳や痰は誤嚥から身体を守る機能
  • 誤嚥を防ぐために大切なのは①意識がはっきりしていること②姿勢③歯磨き

2018-05-30カラダと病気②

Posted by garu-mama